カンナ植物の時を超えた旅路
カンナ(学名:Sceletium tortuosum)は、遠い南アフリカの乾燥した大地に根を張る多肉植物です。この多肉植物は、鮮やかな白と黄色の花を咲かせ、数世紀にわたり、南アフリカの先住民であるサン族やコイコイ族などに重宝されてきました。今回は、その歴史から現代の科学的探求に至るまで、カンナの魅力を深掘りします。
カンナはどこから来たのか?
カンナはアフリカ大陸南部、西部のカルーと呼ばれる乾燥地帯が原産で、南アフリカ、ナミビア、ボツワナの間の先住民サン族とコイコイ族の間で多くの伝統的に使用されてきた歴史がある。現在、アメリカやヨーロッパ市場に出回っているカンナエキスのほとんどは南アフリカで栽培されています。
カンナの特質と先住民との関わり
原生地である南アフリカの乾燥地帯に自生するカンナは、その美しい外見と共に、多彩な健康上のメリットを提供してきました。狩猟採集をする際の疲労回復の目的で、またシャーマニックな精神的な活動から、日常的なケアに至るまで。南アフリカの先住民のコイコイ、サン族たちの中では「幸福の植物」として親しまれてきました。
例えば、サン族の母親たちは、乳児の腹痛を和らげるためにカンナを母乳と混ぜ合わせ、狩猟に出かける男たちは日中、飢餓や渇きを和らげ、スタミナやポジティブな気分、精神的な集中力を高めるために発酵乾燥したカンナを噛んで摂取していました。このように、カンナ植物の伝統は、南アフリカの先住民たちに深く根付き、長い歴史を通じて大切に受け継がれてきました。
日本への伝来
1685年、カンナ植物はサイモン・ファン・デル・ステルの絵画を通じてヨーロッパに紹介され、「高麗人参のようなハーブ」としてヨーロッパでも早くに注目されました。アジアへ向かうヨーロッパの貿易商たちからの文書によると、1700年代にはカンナ植物がアフリカを離れ、日本で取引されたとも記載されています。
カンナは精力増強効果で人気があり、貿易商たちは大きな利益を得たと報告されています。実は、私たち日本人の先祖もすでにカンナ植物とすでに一度カンナと出会っていたのです。
カンナの科学的研究
近年の科学的研究では、カンナ(学名:Sceletium tortuosum)の化学的および生物学的特性が詳しく調べられています。PubMedなどの論文サイトにも研究論文は多く掲載されています。特に、カンナの主要成分であるアルカロイド(メセンブリン、メセンボリン、トルチオシンなど)は、脳のセロトニン受容体に作用し、気分を向上させたり、不安を減少させたりすることが示唆されている論文が多く見られます。
セロトニンは「幸せホルモン」として知られ、心のバランスや幸福感に深く関わっています。これらの成分は、メンタルヘルスが現代社会の1つの課題となっていることからも、医療や補助治療の分野で大きな注目を集めています。
カンナの現代での位置づけ
カンナという古代から続く植物が、私たちの生活や健康に深く関わり続けることには、近年の科学的研究によってさらに明かになってきています。この長い歴史を持つ植物は、人間と自然のつながり、伝統と科学の架橋という観点から見ても多くの人を惹きつけています。
カンナは、多肉植物という枠を超え、私たちの心にも体にも様々な形で貢献してきました。その古くから続く価値は今日でも変わりませんが、現代人の過度なストレス社会へ適合する要望から、その可能性がさらに広がりを見せています。
日本を含め、世界中でこの植物の恩恵を享受し、その不思議な旅を一緒に歩んでいく人々が増えていくことでしょう。カンナの物語は、私たち自身の物語と深く結びついており、これからもその関係は続いていくことを期待しています。カンナの不思議な旅を、これからも共に歩み続けましょう。